試料の取り扱い方
水質試料の取り扱いについて(排出水及び河川水の場合)
排出水及び河川水について、測定項目ごとのサンプル必要量を以下に示します。
測定項目 | サンプル必要量(mL) | 容器 | |
---|---|---|---|
排出水 | 河川水 | ||
pH | 150 | 200 | ポリ容器 |
BOD | 800 | 800 | ポリ容器 |
COD | 500 | 500 | ポリ容器 |
SS | 1,000 | 2,000 | ポリ容器 |
n-ヘキサン抽出物質 | 2,000 | 5,000 | ガラスビン |
フェノール類/ホルムアルデヒド | 500 | - | ポリ容器 |
銅 亜鉛 溶解性鉄 溶解性マンガン 全クロム カドミウム 鉛 ホウ素 ヒ素 セレン | 500 | 500 | ポリ容器 |
大腸菌群数 | 100 | 100 | 滅菌ビン |
全窒素 アンモニア性窒素 硝酸性窒素 亜硝酸性窒素 全リン | 500 | 500 | ポリ容器 |
シアン/フッ素 | 500 | 500 | ポリ容器 |
六価クロム | 200 | 200 | ポリ容器 |
全水銀 | 400 | 400 | ポリ容器 |
アルキル水銀 有機リン | 400 | 400 | ガラスビン |
ポリ塩化ビフェニル | 2,000 | 2,000 | ガラスビン |
トリクロロエチレン テトラクロロエチレン ジクロロメタン 四塩化炭素 1,2-ジクロロエタン 1,1-ジクロロエチレン 1,2-ジクロロエチレン 1,1,1-トリクロロエタン 1,1,2-トリクロロエタン 1,3-ジクロロプロペン ベンゼン 1,4-ジオキサン クロロエチレン | 200 | 200 | 熱処理済み ガラスビン |
チウラム | 200 | 1,000 | ガラスビン |
シマジン チオベンカルブ | 200 | 400 | ガラスビン |
沃素消費量 | 500 | - | ポリ容器 |
水質試料の取り扱いについて(飲料水の場合)
飲料水について、測定項目ごとのサンプル必要量を以下に示します。
測定項目 | サンプル必要量(mL) | 容器 |
---|---|---|
一般細菌 大腸菌 | 200 | 滅菌ビン |
カドミウム セレン 鉛 ヒ素 六価クロム ホウ素 亜鉛 アルミニウム 銅 鉄 ナトリウム マンガン | 500 | ポリ容器 |
全水銀 | 400 | ポリ容器 |
シアン | 50 | ポリ容器 |
硝酸態及び亜硝酸態窒素 亜硝酸態窒素 フッ素 塩化物イオン 塩素酸 | 50 | ポリ容器 |
四塩化炭素 1,1-ジクロロエチレン 1,2-ジクロロエチレン ジクロロメタン テトラクロロエチレン トリクロロエチレン ベンゼン クロロホルム ジブロモクロロメタン ブロモジクロロメタン ブロモホルム 1,4‐ジオキサン | 200 | 熱処理済み ガラスビン |
クロロ酢酸 ジクロロ酢酸 トリクロロ酢酸 | 100 | ガラスビン |
臭素酸 | 50 | ポリ容器 |
ホルムアルデヒド | 100 | ガラスビン |
カルシウム、マグネシウム等(硬度) | 200 | ポリ容器 |
蒸発残留物 | 400 | ポリ容器 |
陰イオン界面活性剤 | 1000 | ガラスビン |
ジェオスミン 2-メチルイソボルネオール | 1000 | ガラスビン |
非イオン界面活性剤 | 2000 | ガラスビン |
フェノール類 | 1000 | ガラスビン |
有機物(TOC) | 300 | ポリ容器 |
pH | 200 | ポリ容器 |
色度 濁度 | 500 | ポリ容器 |
表面分析及びミクロ分析試料の取り扱いについて
表面分析
表面分析をする際に最も問題になるのは、分析面の汚染です。表面分析は通常、数μmから数十Åの深さで情報を取り出す為、極く薄い汚染層に覆われていても正確な情報を得られません。例えば、指先で触れれば油脂や塩分が付着しますし、空気中に放置しておくだけでも炭化水素の汚染や水分の影響で分析に支障をきたすことがあります。従って、試料の分析対象部位には絶対に手を触れず、出来ればデシケータなどに入れ、水分やガス等の影響を受けないかたちで保管して下さい。
また、試料を輸送する場合には、分析対象部位に包装や容器が接触しないよう、密閉容器内に固定して頂くと良いでしょう。ポリ袋には、貼り付き防止等のため表面にワックスが施されているものがあります。ポリ袋に試料を直接納めると目に見えませんが、このワックスが試料表面を汚してしまい、分析にならないケースがあります。使用するポリ袋は、一度お確かめ下さい。家庭の台所で使用されるアルミホイルには、こうした汚染が無いようです。試料をケースなどに納められない場合は、有機溶剤などで洗浄する必要があります。この時に使用する有機溶剤は、試料の材料成分や汚染成分、調査の目的などをよく考慮して選択しなければなりません。
ミクロ分析
ミクロ分析の多くは、異物や介在物が対象です。発見時の状況や周囲の様子、発見に至るまでの経緯は、後の分析及び発生源、発生のメカニズムを解明するための重要な情報となる場合が少なくありません。できるだけ、発見時の状況を保持するか、写真撮影をしておくことをお勧めします。多くの場合、その使用材料や製造工程、周辺環境の中に発生源があります。製品が経てきた工程をよく観察して下さい。製品の包装、容器の破損はありませんか?製造工程に汚れや損傷部分はありませんか?ミクロ分析の場合も表面分析と同様、数μmから数十Åの深さで情報を取り出すため、僅かな事後の汚染も支障となります。分析スポットサイズが小さい分、更に注意しなくてはいけません。
輸送する際の注意は、表面分析と同様ですが、脱落などして失われることのないような配慮が必要です。分析をご依頼する際には、予め撮影した写真や書き写した図などを添えて、分析対象位置や異物の有る場所を明確にして頂けるとと万が一の間違いもないでしょう。