熱重量-示差熱同時測定装置(TG-DTA)は熱重量分析(TG)と示差熱分析(DTA)が同時に測定する装置です。TGは試料の温度を変化させながら、重量を測定する方法です。一方で、DTAは試料及び基準物質の温度を変化させながら、その温度差を測定する方法です。具体的には、その温度差を測定することにより、反応等に伴う吸発熱ピークを確認することができます。
無機から有機、高分子をはじめとする材料に見られる現象、物性を知ることができ、耐熱性評価等の様々な用途に用いられています。
・温度 室温~1100℃
・試料量 約10~20mg(固体、液体)
・雰囲気 N2、Air
・昇温速度 最大100℃/min.
・容器 Al、Pt等
・試料の種類を問わず少量で測定できる
・高い温度範囲で測定ができる
・酸化や硬化等の反応を捉えることができる
・融解、ガラス転移、結晶化を捉えられる
・付着水や結晶水の定量ができる
・高分子等の分解温度や分解量の定量ができる
・重量変化に伴う現象が吸発熱反応のいずれか分かる
TGでは試料に重量変化が生じると、試料側の天秤ビームが傾き、シャッターが移動します。この移動を位置センサーにより検出し、シャッターが元の位置に戻るように電流で制御します。この制御電流変化を重量変化として計測することにより重量を測定しています。DTAでは試料と基準物質との温度差を熱電対で検出し、測定しています。
TG信号は、質量減少が下のシフト、質量増加が上へのシフト、またDTA信号では、吸熱が下向きのピーク、発熱が上向きのピークとなります。
3段階の重量減少に伴い、吸熱ピークが生じることが確認されました。それぞれの段階での重量減少率は、その理論値とほぼ一致することが分かりました。900℃まで温度を上昇させることにより、シュウ酸カルシウム1水和物が酸化カルシウムまで熱分解することが推測されました。
Ca2C2O4・H2O → CaC2O4 + H2O↑ | (重量減少率:12.4% 理論値 12.3%) |
CaC2O4 → CaCO3 + CO↑ | (重量減少率:18.8% 理論値 19.2%) |
CaCO3 → CaO + CO2↑ | (重量減少率:30.1% 理論値 30.1%) |
窒素雰囲気下で600℃まで昇温させることにより試料に含まれる固定炭素以外の有機成分を分解しています。その後、400℃まで降温し窒素雰囲気下から空気雰囲気下に切り替え、再度900℃まで昇温させることにより固定炭素を定量しています。データから固定炭素は99%含まれていることが推測されました。この温度変化及び窒素から酸素雰囲気に切り替えることを応用してゴム中に含まれるカーボンブラックを定量することができます。
固定炭素量 | 99% |