繊維のフーリエ変換赤外顕微分光分析

繊維とは、一般に細い糸状の物質を指します。食品や工業製品に混入した繊維状の異物を調べると、その原材料や作業者に由来する毛であったり、工程で使用される布や紙、ブラシ、網等の繊維製品から脱落したもの等様々です。こうした混入異物の再発を防ぐには、その出所を突き止め、適切な改善策をとらなくてはなりません。従って、まず繊維の成分を分析し、その正体及び出所を特定することが重要です。毛の場合、走査電子顕微鏡等で繊維表面を観察し、キューティクル(小皮紋理)を調べることも有効です。繊維の成分分析には、通常、フーリエ変換赤外顕微分光分析装置が用いられます。この分析では、物質固有の赤外吸収波形(赤外スペクトル)が得られるため、標準物質との照合により、的確に繊維種を同定することができます。異物として検出されることの多い、代表的な繊維種の標準赤外スペクトルを以下に掲載します。

毛・絹糸 等の動物性繊維 ヒトの毛、動物性原材料や羊毛、ブラシ、刷毛等の獣毛、シルク製品等

木綿・紙 等の植物性繊維 コットン、木綿糸、脱脂綿、各種紙製品等

ポリエステル繊維

アクリル繊維

ナイロン6繊維/ナイロン12繊維

ポリエチレン繊維/ポリプロピレン繊維