異物の分析や障害解析は、まず光学顕微鏡で観察し、試料の様子や状況を把握することから始まります。そして、必要に応じて写真撮影を行います。しかし、従来の光学顕微鏡では観察される様子を実体どおりに写真におさめることは非常に難しく、焦点の合っていないところはボケていたり、光沢のある部分は白く光ってしまいました。照明の光量を調整したり、角度を変えたりと対処しても、満足のいく写真を撮影するには苦労が耐えませんでした。そもそも光学顕微鏡写真は焦点と絞りが固定された単眼の映像なので、一枚の写真ですべてを明瞭に写し出すことはできません。しかし、顕微鏡から覗いて観える様子はとても鮮明です。これは、ヒトの視覚がとても優れているからです。視野をずらし、また焦点と絞りを変化させながら脳で映像を合成し、非常に幅広い焦点と明るさレンジの画像に置き換えて記憶しています。このデジタルマイクロスコープはこれと良く似た手法で画像を記録し、たくさんの情報提供をしてくれます。
デジタルマイクロスコープはズームレンズとCCDカメラ、オートフォーカス電動スタンド、コンピュータで構成される顕微鏡です。焦点をずらしながら連続撮影した後に、焦点の合った部分だけが合成された1枚の画像が得られます。凹凸の大きな試料もこの深度合成により、全体に焦点のあった画像になります。
光の反射がきつい対象物のギラつきを取り除き、見たい部分をより鮮明に写し出す機能です。このハレーション(乱反射)除去は光沢のある金属などの表面を観察する時に有効です。これは画面全体の観察状態を察知し、その状態に適応させた明るさを調整し、画素単位でコントラストの改善を行うというものです。
デジタルマイクロスコープは画像上で計測したい点や領域を指定すると、長さや角度、面積などの計測ができます。また、深度合成により得られた画像を3D化し、角度を変えて観察や計測が出来ます。
対象物を移動しながら画像を連結して、解像度の高い広い視野画像を合成できます。